2008 Fiscal Year Annual Research Report
キメラタンパク質を応用した中枢神経再生のための人工細胞外マトリックスの創製
Project/Area Number |
07J06117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中路 正 Kyoto University, 再生医科学研究所, 特別研究員DC
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Keywords | キメラタンパク質 / 遺伝子工学 / 神経幹細胞 / 人工マトリックス / ケラチン / 上皮細胞増殖因子 / 神経成長因子 / 細胞移植因子 |
Research Abstract |
本年は、材料に担持した細胞制御因子の立体構造の維持と安定固定の重要性について、神経幹細胞へさらに効率的に作用させるための細胞制御因子の改良について、また新たな構造形成キメラ蛋白質ユニットであるハイドロゲル材料の模索、の三点について研究を行った。キメラタンパク質の固定法に関する詳細な検討の結果、配向固定化EGF-Hisが、固定化された状態で細胞に作用していること、また配向固定化EGF-Hisは生理条件下で構造変化を起こすことなく固定されていることが明らかとなった。これらの結果は、神経幹細胞の単層での増殖には、固定化EGFの構造維持、ならびにキレート結合による安定な固定が重要であることを示唆するものであると考えられる。次に、神経幹細胞(NSC)をより高効率に増幅できる培養基材の開発を目指し、固定化するEGFキメラ蛋白質の改良による高効率化について検討した。遺伝子工学的手法により、EGFにコイルドーコイル形成能を有するペプチドを融合し、自己二量体を形成するキメラタンパク質を作製した。このEGF-His二量体を固定した表面上では、NSCをさらに高効率に増幅できることを明らかにした。最後に、パーキンソン病治療を目指した細胞移植に用いる、移植細胞保護材料の開発について検討した。これまでに報告したケラチンベースの材料の問題点を克服するべく、ベース材料としてヒアルロン酸(HAc)を用いた神経栄養因子(BDNF)担持ゲルの創製に取り組んだ。このハイドロゲル中にNSCを分散させることが可能であり、組み込んだBDNFの作用で細胞の生存率が対象群に比べて有意に高いことが示された。これらの結果から、BDNFを組み込んだHAcハイドロゲルが移植材料として有望であることが示された。
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