2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06133
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京須 希実子 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 専門職 / 職業 / 養成制度 / 介護職 / 祉会福祉 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの論文を基盤として、それを客観視して理論化することで、博士論文へとまとめる作業を行ってきた。この博士論文の目的は、専門職論の枠組みを援用しつつ、福祉系専門職の柱となる介護職に関係する各機関・各団体の利害対立と葛藤及びそのパワーバランスに着目することで、日本において介護を行うことを専門的な業とする介護職の誕生プロセスとその構造を明らかにすることであり、本研究テーマにそって研究を進めてきた数年間の集大成でもある。第1章では、「社会福祉士及び介護福祉士法」成立過程を中心に、社会福祉領域における国家資格制度の創設過程を明らかにした。第2章では、介護職に関係する社会福祉領域の職業団体・教育団体の組織変容過程を、国とのパワーバランスに注目しつつ、明らかにした。第3章では、現場で働く介護職が、多様に定義される業務の中から、自らの専門性に基づいて、コアとなる業務を選択し、その業務に対して行われる他職種からの関わりを調整することで、他職種に対して明示化された自らの職域を自らの手で確立・維持していく過程を明らかにし、介護職の専門的特徴を明らかにした。第4章では、養成制度の在り方を、養成校の量的な側面から分析し、その変遷と特徴を浮き彫りにした。第5章では、養成制度の在り方を、カリキュラムの構成、養成を行う大学教員等の視点から明らかにした。その結果、福祉系専門職の柱である介護職の形成過程を、資格制度・専門性・養成制度の3側面から、多角的に分析することに成功した。また、現代日本における新しい職業の誕生メカニズムも明らかにすることに成功している。
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Research Products
(1 results)