2008 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫脱皮ホルモン受容体と核内受容体共役因子の未知相互作用の解析
Project/Area Number |
07J06157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小倉 岳彦 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脱皮ホルモンアゴニスト / EcR / USP / EcRE / コロラドハムシ / Diacylhydrazine / Ponasterone A |
Research Abstract |
本研究では、昆虫の脱皮ホルモンの受容体であるEcR,USP、哺乳類の核内受容体共役因子、種々の脱皮ホルモンアゴニストを準備し、これらを用いて表面プラズモン共鳴センサーによる相互作用解析を行うことを目指した。昨年度に引き続き、キイロショウジョウバエ脱皮ホルモン受容体タンパク質の発現用コンストラクトDmEcR、DmUSPを大腸菌BL21株に導入し、培養条件やIPTGによる発現誘導状態等を変えて、DmEcR,DmUSPタンパク質の大量調製を試みた。しかし、可溶性画分への十分な発現が得られなかった。封入体から活性のあるDmEcR,DmUSPを回収する方法等を検討する必要があると思われる。 前年度に構築した、コロラドハムシ由来の培養細胞を用いたレポータージーンアッセイシステムについては、再現性と信頼性を高めるために、より詳細な条件検討を行った。この研究の結果、様々な脱皮ホルモンアゴニストの受容体結合親和性の強さが転写活性化能力の強さとは必ずしも相関しないという結果が確認されるとともに、レポータープラスミドに導入する脱皮ホルモン依存的プロモーターとして、コロラドハムシ培養細胞においてはpallよりもhsp27がふさわしいこと、それぞれのプロモーターとともに恒常発現プロモーターであるドクガ由来のOpIEを用いた場合、その活性の強さが異なることなど、重要な知見が得られた。このことは、EcR/USP-脱皮ホルモン転写調節系において様々な因子が互いに影響を与えながら機能していることを示唆しており、非常に興味深い結果であった。今後、今回構築した転写活性化測定系に哺乳類の転写共役因子を導入することで、そのような相互作用についての分子レベルでの知見が得られると期待される。
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