2008 Fiscal Year Annual Research Report
日韓中の社会階層構造の変動がナショナリズムにもたらす影響に関する比較研究
Project/Area Number |
07J06170
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高原 基彰 Gakushuin University, 法学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際研究者交流 / 韓国 / 中国 / ナショナリズム / 階層 |
Research Abstract |
今年度の研究の成果は、大別して二つある。 第一に、継続的に韓国の歴史と現状についての資料を収拾・整理するとともに、部分的な成果発表を行なった。新創刊された叢書「思想地図」の第一号において、日本ではあまり知られていない韓国の民族主義イデオロギーの由来、左右の政治的対立軸の歴史的形成と今日の状況などについて、包括的な分析を行なう論考を発表した。また、日本・韓国・中国において、ナショナリズム・民族主義という概念のおかれた歴史的文脈がまったく異なり、相互の理解を困難にしていることを指摘し、それらを相互に比較可能なものとする方法論について考察した論考を、情報社会学会の学会誌に投稿し、受理された。 第二に、日本、韓国、中国との間で、学術交流活動に多く参加したことである。日本社会学会では、「日韓ジョイントパネル」において小熊英二氏(慶応大学)とともに日本側の代表を務め、民族主義研究の分野で韓国を代表する研究者であるパク・ミョンギュ氏(ソウル大学校)、およびキム・ジョンヨップ氏(ハンシン大学校)と、日韓におけるナショナリズム・民族主義の解釈枠組みの違いや、相互のすれ違いについて意見交換を行った。 また、中国・青島で開かれたシンポジウムにて、韓国・中国の同世代の研究者に対し、日本における戦後政治の展開と、その中でのナショナリズムの数段階の評価を、つとめて客観的な視点から紹介し、韓国や中国ではあまり共有されていない知識を多く紹介した。 さらに、韓国・聖公会大学校で行なわれたシンポジウムにて、日本における社会階層構造変動の代表的な事例である「ワーキングプア」問題について紹介し、韓国・中国の参加者から、自国の事例と比較した共通点と相違について、有用な意見・コメントを数多く得ることができた。
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Research Products
(5 results)