2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有木 宏美 (高木 宏美) Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 抑制性T細胞 / Foxp3 / TGF-β / IL-4 / STAT6 |
Research Abstract |
TGF-βは経口免疫寛容を担うとされるTh3細胞や末梢におけるFoxp3+抑制性T細胞の誘導に関わる。そこで申請者はFoxp3の発現制御機構を明らかにするためにFoxp3プロモーターについてレポーターアッセイ、クロマチン免疫沈降法を用いて解析を行った。Foxp3プロモーター領域にはTGF-βの下流で働くSmadの結合配列が存在しており、この結合配列がTGF-βにより誘導されるFoxp3の発現に重要であることが示唆された。また、IL-4がTGF-βにより誘導されるFoxp3の発現をmRNAレベルで抑制することを見出した。IL-4の作用を検討するためIL-4シグナル伝達を担うSTAT6の欠損マウスを用いてFoxp3の誘導を行ったところ、WT由来のT細胞ではFoxp3の発現がday3をピークとし、その後Foxp3の発現が低下するのに対し、STAT6欠損マウス由来のT細胞ではFoxp3の発現低下が見られなかった。そこでFoxp3誘導条件下でのT細胞の培養上清のIL-4を測定したところ、day3よりIL-4の産生がみられた。また、抗IL-4抗体存在下でWT由来のT細胞を抑制性T細胞誘導条件下で培養したところ、day3以降にみられたFoxp3の発現低下が阻害された。このことから抑制性T細胞誘導条件下でT細胞を培養した際にday3以降に見られるFoxp3の発現低下はIL-4が原因であることが示唆された。さらにFoxp3プロモーターにはSTAT6結合配列が存在しておりSTAT6がこの配列に結合することが明らかとなった。IL-4存在下で抑制性T細胞を誘導するとこのSTAT結合配列近辺のクロマチン構造が閉じ、Foxp3の転写が抑制されていることを示した。Th1サイトカインであるIFN-γや炎症性サイトカインであるIL-6もFoxp3の発現を抑制することが報告されている。今回の研究によりTh2サイトカインであるIL-4/STAT6もFoxp3の発現を抑制することが明らかとなった。これらのことより抑制性T細胞の分化・誘導にはサイトカインシグナルのバランスが重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)