2007 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ卵殻形態の収斂進化における発生機構の多様化に関する研究
Project/Area Number |
07J06193
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
影沢 達夫 Tokyo University of Science, 基礎工学部・生物工学科, 特別研究員DC1
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Keywords | 収斂進化 / 卵殻突起 / EGFRシグナル / カラスショウジョウバエ / argos / kekkon1 / sprouty |
Research Abstract |
1.研究背景 様々な種のゲノムが解読され、形態とゲノムとの関わりが広く認識されるようになりました。しかし、形態の進化をゲノム情報の変化に基づいて説明できた例はほとんどありません。進化には多様化と収斂という2つの側面があり、私は特に収斂進化についてそれがどのような発生機構の変化によって起こるのかを分子レベルで解析しています。 収斂進化のモデルとしてショウジョウバエの卵殻突起の本数に着目しました。全ての種が2本型のシマショウジョウバエ亜属と、ほとんどが4本型のショウジョウバエ亜属の中で2本型のカラスショウジョウバエは収斂進化した可能性が考えられます。そこで、卵殻突起形成に重要な役割をはたすEGFRシグナルの活性化パターンをこれらの種で比較したところ、パターンが大きく異なっていました。これは卵殻突起の4本型から2本型への収斂進化がEGFRシグナルの異なった変化によって起こったことを示唆しています。 2.研究成果 これまでの研究から、卵殻突起の4本型と2本型の多様化にはEGFRシグナル抑制因子(argos,kekkonl,sprouty)の発現調節の変化が重要であることが示唆されました。argosとkekkonlの発現をin situハイブリダイゼーション法により検出したところ、2本型のキイロショウジョウバエ(シマショウジョウバエ亜属)と4本型のクロショウジョウバエ(ショウジョウバエ亜属)で発現パターンが大きく異なることがわかりました。このことから、これらが4本型と2本型の多様化に関与した可能性が示唆されました。sproutyについては、クロショウジョウバエのsproutyを現在クローニング中です。カラスショウジョウバエでは、argosのみクローニングが終了したので、今後発現パターンを解析していくと共にkekkonlとsproutyのクローニング、発現パターンの解析も行っていく予定です。
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Research Products
(5 results)