2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ卵殻形態の収斂進化における発生機構の多様化に関する研究
Project/Area Number |
07J06193
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
影沢 達夫 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 進化 / 卵殻突起 / キイロショウジョウバエ / クロショウジョウバエ / EGFRシグナル / argos / sprouty |
Research Abstract |
私たちは、ショウジョウバエ種間における卵殻形態の進化的多様化は、発生プログラムのどのような変化にもとづいて起こるのかについて研究しています。キイロショウジョウバエとクロショウジョウバエに関するこれまでの研究から、卵殻突起の数の4本から2本への進化には、濾胞細胞におけるEGFRシグナル抑制因子の発現パターンの多様化が重要であることが示唆されました。その重要性を検証するために、本年度は、平成20年度に確立したクロショウジョウバエ卵における時期特異的RNA干渉(RNAi)システムを用いて、クロショウジョウバエでのEGFRシグナル抑制因子argos(aos)とsprouty(sty)の卵殻突起形成における機能を解析しました。 クロショウジョウバエの濾胞細胞においてaosのノックダウンを行うと、本来の4本の卵殻突起の間から異所的な卵殻突起の形成が誘導された結果、卵殻突起の一部あるいは全てが融合した1~3本の卵殻突起をもった卵が形成されました。その中には、2本様の卵殻突起を持った卵も含まれ、野生型のキイロショウジョウバエにおける卵と類似していました。また、異所的な卵殻突起形成細胞に対応する濾胞細胞において、リン酸型MAPKやBroad(Br)が異所的に検出されました。以上の結果から、濾胞細胞でのaosの発現パターンの変化が卵殻突起の数の4本から2本への進化に重要であることが示唆されました。 次に、クロショウジョウバエの濾胞細胞においてstyのノックダウンを行うと、正中線領域において異所的な卵殻突起形成を誘導し、結果として5~7本の卵殻突起が形成されました。このことから、styは、正中線領域における卵殻突起の数の進化には関わりますが、側方領域における卵殻突起の数の進化と考えられる4本から2本への進化には直接的には重要ではないことが示唆されました。
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Research Products
(2 results)