2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ卵殻形態の収斂進化における発生機構の多様化に関する研究
Project/Area Number |
07J06193
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
影沢 達夫 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | 進化 / 卵殻突起 / EGFRシグナル / argos / kekkon1 / sprouty / クロショウジョウバエ |
Research Abstract |
私たちは、ショウジョウバエをモデル生物として用い、生物のもつ形態の進化的多様化が発生プログラムのどのような変化にもとづいて生じているのかについて明らかにしようと考えています。 本年度はまず、ショウジョウバエ属の14種について卵殻突起の本数と濾胞細胞におけるEGFRシグナル活性化パターンの網羅的な比較解析を行い、その結果をMechanisms of Developmentに掲載しました(Kagesawa et al.,2008)。 次に、EGFRシグナル抑制因子(argos、kekkon1、sprouty)の発現調節の多様化が卵殻突起の本数の進化の直接的な引き金となった可能性について着目し、それらの濾胞細胞における発現パターンを解析しました。その結果argosとkekkon1の発現パターンが種間で顕著に異なっていることがわかり、これら抑制因子の進化が卵殻突起の本数の進化に影響を与えた可能性が示唆されました。 さらに、EGFRシグナル抑制因子の機能の多様化についてより詳細に理解するために、祖先型形質である4本型のクロショウジョウバエにおいてTet-offシステムを用いた時期特異的RNA干渉を行っています。キイロショウジョウバエ以外のショウジョウバエ種における遺伝子操作はこれまでなされておらず、クロショウジョウバエにおいてこれらの技術を構築することは生物の進化を遺伝子レベルで理解する上で極めて有力な手段となります。クロショウジョウバエにおいてkekkon1のRNA干渉を行ったところ、卵殻突起の形成位置が変化し異所的なリン酸化型MAPKの分布が観察されました。これらの結果は、クロショウジョウバエにおいてkekkon1のEGFRシグナル抑制因子としての機能は保存されていること、kekkon1は卵殻突起の本数の決定には直接関与せず卵殻突起の形成位置を規定していること、を示唆しています。
|
Research Products
(5 results)