2007 Fiscal Year Annual Research Report
炎症局所へのT細胞動員におけるE-セレクチンリガンドの同定とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
07J06209
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 真典 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | CD43 / E-セレクチン / 好中球 |
Research Abstract |
E-セレクチンは炎症時に血管内皮細胞に発現が誘導され、白血球の炎症局所への浸潤を媒介する。これまでに私たちはマウス活性化T細胞上のPSGL-1やCD43が生理的なE-セレクチンリガンドとして機能していることを明らかにした。また最近、私たちはマウス活性化T細胞上ではPSGL-1やCD43以外にもE-selectin ligand-1(ESL-1)がE-セレクチン結合能を有していることを明らかにした。そこで、ESL-1がE-セレクチン依存的なローリングを媒介するかを検討し、ESL-1とIgGのキメラタンパク質上をE-セレクチン発現細胞がフロー条件下においてローリングすることを明らかにした。 また、これまでにマウス好中球上のPSGL-1が生理的なE-セレクチンリガンドとして機能することが報告されているが、CD43が好中球上の生理的なE-セレクチンリガンドとして機能しているかについては未だ明らかではない。そこでマウス好中球上のCD43がE-セレクチン結合活性を有するかを検討したところ、PSGL-1欠損好中球に比較して、PSGL-1とCD43をともに欠損する(DKO)好中球ではE-セレクチン結合活性が低下した。また、野生型好中球からE-セレクチン-IgGキメラタンパク質を用いたアフィニティー精製を行ったところ、活性化T細胞と同様にPSGL-1、CD43およびESL-1がE-セレクチン結合能を有することが明らかとなった。さらに、好中球上のCD43がPSGL-1とともに生理的なE-セレクチンリガンドとして機能するかを明らかにするために、炎症反応を誘発させたマウスの挙睾筋における好中球のE-セレクチン依存的ローリングを生体顕微鏡により観察した。その結果、PSGL-1欠損マウスに比較してDKOマウスでは白血球のローリング速度が有意に上昇した。実際、E-セレクチンはローリング速度を遅くする役割を有することから、生体内において好中球上のCD43は生理的なE-セレクチンリガンドとして機能していることが強く示唆された。このように生理的に重要なE-セレクチンリガンドの同定は白血球の炎症局所への遊走機構の解明、さらには炎症性皮膚疾の発症・進展の制御につながり、その意義は大きいものと思われる。
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