2008 Fiscal Year Annual Research Report
比較認知発達の観点からみた絵画的奥行知覚:運動情報と視点の影響
Project/Area Number |
07J06211
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊村 知子 Kyoto University, 霊長類研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 陰影 / 線遠近法 / 両眼視差 / ヒト乳児 / チンパンジー / 脳波 |
Research Abstract |
本年度の前半は、ヒトの乳児と成人を対象に陰影と輪郭からの3次元形状知覚の発達について検討した。この研究はユニバーシティ・カレッジ(英国)にて、ジャネット・アトキンソン教授らとの共同研究として実施した。CRTモニタに呈示される刺激の陰影情報と輪郭の位置関係を操作し、凹凸が知覚される刺激と、平面が知覚される刺激が繰り返し交互に現れる条件(3D条件)と、2種類の異なる平面刺激が交互に現れる条件(2D条件)を設けた。刺激観察中の視覚誘発電位を全頭型128チャンネル脳波計で計測し、刺激変化の時間周波数に対応した脳波成分(F1)の振幅を分析した。その結果、成人では2D条件に比べ3D条件で有意に大きなF1振幅が生じた。さらに後頭部では側頭、頭頂部よりも大きな振幅が見られた。乳児のデータについても現在解析を進めている。これらの結果を日本基礎心理学会第27回大会にて発表した。本年度の後半は、京都大学霊長類研究所にて3個体のチンパンジーを対象にエイムズの台形窓の錯視について検討した。この研究はミネソタ大学(米国)のアルバート・ヨナス教授との共同研究として実施している。3個体のチンパンジーに対し2つのおもちゃを異なる距離に呈示してより近い方に触れるよう訓練した後、テストで台形窓をチンパンジーに対して平行に呈示し、単眼、両眼条件で左右いずれの端に触れるかを記録した。その結果、単眼条件ではチンパンジーは台形窓の長い方の辺に頻繁に触れたのに対し、両眼ではそのような傾向を示さなかった。したがって、チンパンジーもヒトと同様、単眼条件では線遠近法から、両眼では両眼視差を用いて対象の距離を判断する可能性が示唆された。これらの結果の一部を国際学会(European Conference on Visual Perception)にて発表した。
|
Research Products
(6 results)
-
-
[Presentation] 陰影からの3次元形状知覚に関連する皮質活動2008
Author(s)
伊村知子, 白井述, Deirdre Birtles, Shirley Anker, John Wattam-Bell, Janette Atkinson, Oliver Braddick
Organizer
日本基礎心理学会第27回大会
Place of Presentation
仙台国際センター
Year and Date
2008-12-07
-
-
-
-