2009 Fiscal Year Annual Research Report
比較認知発達の観点からみた絵画的奥行知覚:運動情報と視点の影響
Project/Area Number |
07J06211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 知子 (伊村 知子) Kyoto University, 霊長類研究所, 助教
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Keywords | 絵画的手がかり / 地面優位性効果 / 視覚探索課題 / チンパンジー |
Research Abstract |
本年度は、2次元画像から奥行きを知覚する際の「視点」の高さの効果について、ヒトとチンパンジーの比較から検討した。 ヒトでは3次元空間の探索において「地面」上の変化の方が「天井」など他の面に比べ検出しやすいことが報告されている(地面優位性効果:ground dominance effect)。地面上を二足歩行するヒトにとって、地面を見下ろすような視点から物を探索することの方が、天井を見上げるような視点から物を探索するよりも頻繁に経験するからかもしれない。ヒトは2次元画像の奥行きを知覚する際にも、現実空間と同じように「地面」上の変化を効率よく探索する。 本実験では、ヒトと移動様式の異なるチンパンジーにおいても「地面優位性効果」が見られるかについて、視覚探索課題を用いて検討した。「地面」あるいは「天井」の上に複数の立方体が手前から奥に徐々に小さくなるように呈示される。課題は、その中から上面または側面の輝度が他と異なるもの(ターゲット)を検出することである。ターゲット検出に必要な反応時間を計測する。その結果、チンパンジーもヒトと同様、「地面」では奥行平面に沿った上面の輝度の差異の検出が側面に比べ速いのに対し、「天井」では上面と側面の反応時間の差が消失した。すなわち、ヒトと同様の「地面優位性効果」がチンパンジーにおいても見られた。
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Research Products
(7 results)