2009 Fiscal Year Annual Research Report
二核性アルカロイドHaplophytineの全合成研究
Project/Area Number |
07J06237
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植田 浩史 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Haplophytine / Fischerインドール合成 / 二核性インドールアルカロイド / Friedel-Craftsアルキル化 / AgNTf_2 / aspidophtine / 収束的全合成 |
Research Abstract |
抗がん剤であるビンブラスチンを代表格とする二核性インドールアルカロイドは興味深い生理活性を有する天然物が多く存在し、医薬品において重要な化合物群である。しかしながら、その多くが複雑かつ特異な構造を有していることから、現代の高度な精密有機合成化学をもってしても未解決な合成上の課題を多く含んでいる。その中でも、1950年代に中南米産の植物の葉から単離された(+)-haplophytineは、その特異な構造から合成標的化合物として広く注目を集め、世界中で活発に合成研究が行われている。しかし、その構造の複雑さゆえに、研究開始当初は全合成の報告例はなかった。そこで、私は本化合物を大きく2つのユニットに逆合成し、両ユニット間におけるFischerインドール合成法を用いることで収束的全合成を行えるのではないかと考え、本化合物の合成研究に着手した。 これまでに申請者は、Fischerインドール合成法を鍵行程として用い、世界初のhaplophytineの全合成を達成した。今年度は、より収束性の高い合成経路の開発を視野に入れ、第二世代合成研究に着手した。すなわち、βカルボリンと右部aspidophytineとの直接的カップリングを行うことで高い収束性が得られ、また生合成仮説の立証が行えるものと推察した。そこで、私は様々なアプローチにより直接的カップリングを試みたが、これまでに知られるように両ユニットのカップリングは困難を極めた。その後の詳細な検討により、私はFriedel-Craftsアルキル化の際、銀試薬としてAgNTf_2を用いることでβカルボリンと右部aspidophytine前駆体との直接的カップリングが進行することを見いだすことができた。このように、直接的カップリング反応に成功し、第二世代合成の達成への大きな足がかりを作ることができた。今後はより収束性の高い本第二世代合成の達成により、haplophytineの量的供給及び、多様な誘導体の供給が可能となることが期待される。
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Research Products
(9 results)