2007 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性AZADOの合成と高エナンチオ選択的不斉アルコール酸化反応の開発
Project/Area Number |
07J06241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富澤 正樹 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不斉酸化 / アルコール酸化 / キラル / ニトロキシルラジカル / AZADO |
Research Abstract |
研究計画の一年目に当たる年度は、立案したキラルAZADO触媒の合成に先立ち、基質であるアルコールの両対掌体の認識に重要な機能を果たす触媒の不斉置換基を最適化する検討を行なった。まず、これまでに合成した(1S,4S)-4-benzyl-1-methyl-AZADO(1)の不斉誘起置換基であるベンジル部のアリール基の選択性に与える効果を評価すべく、ベンジル基の代わりにベンゼン環のパラ位にアセトアミド基を導入した(1S,4S)-4-(p-acetylamino-benzyl)-1-methyl-AZADO(2)、また、ナフチル基を導入した(1S,4S)-4-(1-naphtyl)-1-methyl-AZADO(3)のヒドロキシルアミン体2',3'をそれぞれ光学活性体として合成した。合成したキラルヒドロキシルアミン体2',3'を触媒として用いてアルコール不斉酸化反応の検討を行なった。まず、基質としてラセミのインダノールを用い、触媒を5mol%、バルク酸化剤としてヨードベンゼンジアセテートを用いて検討を行なった結果、2':収率34%、光学収率7%(k_f/k_s=1.4)、3':収率21%、光学収率7%(k_f/k_s=1.74)と、触媒1と同等の選択性であることが判明した。いずれの触媒を用いた場合においても優先して回収されるアルコールの立体化学は(S)である。続いて、基質をラセミメントールに変更し、同条件下検討を行なったところ、2':収率16%、光学収率8%(k_f/k_s=2.5)、3':収率traceとなり、触媒3'に関しては酸化触媒活性自体が低下していることを示唆する結果が得られた。以上より、本反応における触媒の不斉誘起置換基は、合成の簡便性、酸化触媒活性、選択性の観点からベンジル基が最適であるとの結論に至った。現在、ベンジル基を有するキラルAZADO誘導体の合成を行なっている。
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