2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内山 雄祐 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子実験 / 国際研究者交流 / スイス:イタリア:アメリカ:ロシア / 超対称性 / ミュー粒子 / 液体キセノン |
Research Abstract |
素粒子物理学の標準理論では禁止されたミュー粒子の稀崩壊モードを探索するMEG実験を遂行し、超対称性に代表される新しい物理を実験的に検証することが本研究の目的である。 今年度前半は検出器の理解を深めるため詳細な較正を行った。具体的には中性パイ中間子崩壊からの55MeVカンマ線を用いた較正ランを1ヶ月間通して行い、実際の信号(53MeV)に近いエネルギー領域での応答を検出器の全ての有感領域に対して調べた。この55MeVガンマ線を用いて液体キセノン検出器の分解能を見積もり、エネルギー分解能2.3%、位置分解能5mm、時間分解能100psを得た。特に時間分解能に関しては、較正手法および再構成アルゴリズムを新たに開発し、昨年度の結果を大きく改善した。 昨年度液体キセノンの発光量が期待より少ないという問題が判明したが、今年度は新たな純化装置を導入し、キセノンの純化を継続して行うことで光量の回復に成功した。この間、光量の変化はコッククロフトウォルトン加速器を用いた原子核励起反応からの17.6MeVガンマ線を用いて定期的にモニターを行い、解析時に変化量を補正することで、純化と安定なデータ収集を同時に平行して行う手法を確立した。 9月には本実験を開始する準備が整い、ミュー粒子崩壊事象データの取得を開始した。この物理ランは12月終わりの加速器の運転終了まで続けられた。取得されたデータから背景事象の研究を行い、ガンマ線のスペクトルが期待通りであることを確認した。また、実験感度を最大限に高めるための最尤法を用いた統計的解析手法の研究を行った。
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Research Products
(5 results)