2007 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能分光を用いた高分子融体からの変形過程における構造形成のin-situ計測
Project/Area Number |
07J06319
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
撹上 将規 Gunma University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高分子 / 溶融延伸 / in-situ(その場)計測 / X線 / NMR |
Research Abstract |
これまで、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)の溶融延伸過程における相構造形成メカニズムを、シンクロトロン放射光を用いたin-situ(その場)広角X線回折(WAXD)測定によって検討してきた。そこでさらに、溶融延伸過程におけるin-situ小角X線散乱測定を行うことによって、WAXD測定で得られた六方晶への一時通過的な結晶化と伸び切り鎖結晶への構造発展の相関について総合的に議論した。その結果、UHMW-PEの溶融延伸過程において分子鎖絡み合い特性がその構造形成機構を支配していることが明らかとなった。この分子鎖絡み合い特性が構造形成に及ぼす影響は、UHMW-PE溶融延伸試料の昇温過程におけるin-situ WAXD解析の結果からも確認された。また、高機能材料である超高分子量ポリテトラフルオロエチレンの溶融延伸過程に対してもUHMW-PEと同様のin-situ WAXD計測を適用し、その構造形成メカニズムと力学物性の相関を見積もった。 これらの結果から、溶融延伸過程における相構造発展は分子鎖絡み合い変化に代表される非晶鎖の構造変化に誘起されて進行することがわかってきた。そこで、非晶鎖の分子運動性が検知可能な核磁気共鳴(NMR)分光を用いて溶融延伸過程におけるin-situ計測を行うことで、分子鎖絡み合い状態の変化に伴う緩和時間変化の評価を行った。まず、溶融延伸機構と応力検知システムを組み込んだin-situ計測用NMR装置の開発を行った。この装置を用いてUHMW-PEの溶融延伸過程におけるin-situ NMR計測を行ったところ、これまでのX線測定では検知できなかった分子鎖絡み合い状態の程度の違いを見積もることに成功した。これは、成形加工工程における相構造形成メカニズムの解明において非常に有用な手段となると考えられる。
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Research Products
(10 results)