2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06355
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 励 Kwansei Gakuin University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ノイズ / コントラスト検出閾値 / 確率共振現象 |
Research Abstract |
前年度では,視覚系において,ある一定のコントラストをもった輝度ノイズによって縞刺激に対するコントラスト検出閾値(contrast detection threshold:CDT)の低下が起きるためには,視覚刺激が(1):一定の平均輝度(約45〜60cd/m^2)である,(2):過渡的成分を有する,といった条件を満さなければCDTの低下が起きないことを明らかにした。 今年度では 視覚刺激の平均輝度がどのようにしてCDTを低下させているのかを検討した。その結果,ノイズによるCDTの低下は,I:ノイズを与えられなかった視覚刺激に対するCDTが平均輝度の上昇によって低下するII:ノイズを与えられた場合では平均輝度の上昇によるCDTの低下が起きず一定の値を保つIII:その結果、相対的にノイズによってCDTが生じる,とう事を明らかにした。このことは、ノイズによって視覚系での情報処理が促進,または入力情報の強度が増強されると考えられてきたこれまでのモデルとは異なり、我々の視覚系におけるノイズとはシステムの出力を一定に保つために利用されている可能性を示唆する。また,CDTの低下に影響を与える平均輝度は,網膜に投射される物理的明るさなのか,それとも視覚系での処理された後の知覚される明るさを検討した。その結果、前者の物理的明るさによってノイズによるCDTの低下が生じることが明らかとなり、外部ノイズは網膜といった視覚情報処理では比較的速い段階で利用されている事が示唆される。
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Research Products
(4 results)