2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06355
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 励 Kwansei Gakuin University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ノイズ / コントラスト検出閾値 / 確率共振現象 |
Research Abstract |
視覚系において,ある一定のコントラストをもった輝度ノイズによって縞刺激に対するコントラスト検出閾値(contrast detection threshold: CDT)が低下するという報告がこれまでなされ(Blackwell,1998),その説明モデルとして確率共振現象(stochastic resonance : SR)が用いられてきたが,SRがその説明モデルとして妥当かどうかの検討はなされていない.そこで,SRのシミュレーションとヒトのCDTの変動が一致するかを検討することで,輝度ノイズがどの視覚情報処理過程にどの様に影響しているかを知ることが出来る.そのために視覚刺激の平均輝度,空間周波数,時間窓の形状,呈示時間,ノイズと刺激の空間周波数および時間的な同期を変数としてCDTを測定する実験を行った.その結果、特定の条件においては輝度ノイズによってCDTは輝度ノイズの無い場合のCDTよりも低下した.このような場合,CDTの低下はI:ノイズが含む空間周波数には依存しない,II:ノイズと刺激との時間的同期が必要,といったSRの特性で説明可能な部分と,輝度ノイズのコントラスト以外に視覚刺激が(1):一定の平均輝度(約45〜60cd/m^2)である,(2):過渡的成分を有する,といった条件を満さなければCDTの低下が起きないというSRでは説明できない部分が明らかになった.このことから視覚情報の過渡的成分の処理を担うmagno系の働きにノイズが影響していること,また,ノイズはCDTを低下させるというよりも平均輝度の上昇に伴うCDTの上昇を抑制する働きであることが示唆された.
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Research Products
(1 results)