2009 Fiscal Year Annual Research Report
女性ホームレスをつくり出す社会―貧困と路上生活の国際比較を視野に入れて
Project/Area Number |
07J06392
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
丸山 里美 Toyo University, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ホームレス / 女性 / ジェンダー / 社会的 |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は、ホームレスの女性について、男性とは異なる生活実態や形成メカニズムを明らかにするということであった。これに対して、本年度はこれまで聞き取りを行った女性ホームレス33人の生活史を分析し、女性に固有の排除の過程について検討した。 女性がホームレスになる過程は、大きく3種類にわけられる。第一はカップルでホームレスになるケースで、主たる生計者である男性の失業にともなって、住居を失っており、これまで明らかにされている男性のホームレス化の過程がよくあてはまる。第二は単身で仕事を続けていた女性が、失業してホームレスになるケースである。彼女たちが単身になった理由は、パートナーとの離死別が大半で、前職は水商売、旅館の住み込み仲居、掃除のパートなど、女性に特徴的な低賃金不安定労働がほとんどである。こうした職は保険や年金の保障のないものも多く、病気や高齢化が直ちに住居の喪失につながっている。第三は、夫や息子からのDVなど、家族とのトラブルから逃れてホームレスになるケースである。 従来のホームレス研究では、男性を前提に、職歴の変化によってホームレスにいたる過程が分析されてきた。しかしこうした方法は、パートナーの職に生活が大きく左右される女性の経験をとらえられるものになっていない。特に第二、第三のケースでは、女性の経済的不利益、標準家族制度からはずれた女性に対する社会保障の不備や、パートナーとの関係が生活状況に大きく影響する、ジェンダー化された社会的排除のプロセスが明らかになった。
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Research Products
(5 results)