2007 Fiscal Year Annual Research Report
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)積層板の高サイクル疲労における長期信頼性評価
Project/Area Number |
07J06404
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細井 厚志 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高サイクル疲労 / 炭素繊維強化プラスチック / トランスバースクラック / 層間剥離 / 長期信頼性 / 下限界 |
Research Abstract |
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽量かつ優れた機械的性質を有するため,航空機や自動車等の多岐にわたる分野で,金属に替わる構造材料としての適用が期待されている.一般に,CFRP積層板の疲労損傷挙動はまずマトリックスクラックと呼ばれる層内樹脂割れが生じ,その後マトリックスクラック先端の応力集中により層間剥離が生じる.大型構造材料としてCFRP積層板を適用する場合,最終破壊の原因とならないマトリックスクラックを許容しない設計基準では,構造物の重量が大きくなりすぎるためCFRPの「軽量」という性能を生かしきれない.超高サイクル疲労において,積層板内部にマトリックスクラックが生じていても層間剥離が発生しないことが明らかとなれば,構造物を軽量化し且つその長期信頼性を確立することが可能となる.そこで本研究では,マトリックスクラックを起点として生じる層間剥離成長挙動について調査を行うことを目的とした. 実験では,積層構成が[45/0/-45/90]_s、であるCFRP積層板を用いて,成形されたままの「標準試験片」と予めマトリックスクラックのみを導入した「予損傷試験片」を用意し,高サイクル疲労試験を行った. 試験結果より,負荷応力レベルに依存して疲労損傷進展が異なることが分かった.高応力レベル・低サイクルの疲労試験では,予め導入されたマトリックスクラック単体では層間剥離の発生や進展に大きな影響は及ぼさず,層間剥離は繰返し負荷によって新たに生じたマトリックスクラックが集合した部分で発生しやすいことがわかった.一方,低応力レベル・高サイクル疲労試験では,マトリックスクラック密度に依存せず,マトリックスクラックの疎な箇所からも層間剥離が発生,進展することが観察された.つまり,高サイクル領域においては,マトリックスクラックが生じなくても層間剥離が生じてしまう可能性があることが示唆された.
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Research Products
(8 results)