2007 Fiscal Year Annual Research Report
5配位状態のリンおよびケイ素からなる新規な結合の構築とその性質の解明
Project/Area Number |
07J06461
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 秀明 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 典型元素 / リン / ケイ素 / 5配位 / ホスホラン / シリカート / 超原子価 / 還元的カップリング |
Research Abstract |
この研究の目的は、5配位リン原子および5配位ケイ素原子からなる結合を有する化合物を合成し、その新規な結合を有する化合物の物性や反応性を解明することである。 5配位リン原子と5配位ケイ素原子が結合した化合物の合成を目的として、いずれもMartin配位子を二つ有する4配位ボスホラニドと4配位シランの反応をエーテル中で行ったが、反応は進行せず目的化合物は得られなかった。同様の反応をTHF中で行ったところ、溶媒であるTHFの開環反応が進行し、THFの開環によって生じる原子団[-(CH_2)_4O-]によって5配位リン原子と5配位ケイ素原子が架橋された化合物が高収率で得られることを見出した。これは5配位リン原子と5配位ケイ素原子を単一分子中に有する初めての化合物である。THFの開環は4配位ホスホラニドのみ、および4配位シランのみでは起こらないため、それらが協同的に作用してTHFの開環を行っていると考えられる。別の合成方法を用いてより短い原子団[-(CH_2)_nO-](n=3,2,1,0)で5配位リン原子と5配位ケイ素原子が架橋された化合物を合成し、それらのNMRスペクトルについて系統的な比較検討を行った。 4配位シランをリチウムナフタレニドで還元した後に求電子試薬で処理することで5配位シリカートが生成することを見出した。また、リチウムを用いた還元的カップリングによって5配位ケイ素原子同士が結合したジシリカートの合成に成功した。生成物の同定は各種NMRおよびマススペクトルによって行った。今回用いた合成方法は5配位化合物の新規な合成手法であり、そのシンプルさゆえに高配位化合物の化学の発展に広く寄与すると期待される。
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Research Products
(6 results)