2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス応答を介した炎症刺激不応性(アナジー)獲得のメカニズムの解明
Project/Area Number |
07J06469
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
早川 国宏 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炎症 / 小胞体ストレス / アナジー / NF-κB / 糸球体細胞 / A20 / C / EBPβ |
Research Abstract |
昨年度、小胞体ストレスの誘導により種々の炎症刺激に対するアナジーが惹起されるかを検討し、その結果、小胞体ストレスを惹起したメサンギウム細胞では炎症性サイトカイン刺激によるNF-κBの活性化が著明に抑制されることを明らかにした。しかし、その詳細なメカニズムは不明なままだった。そこで、本年度は、細胞系を用いたin vitroにおけるアナジーの惹起の詳細なメカニズムの解明を第一の目標とした。 昨年度のプレルミナリーな実験結果でA20、C/EBPが小胞体ストレスにより動態の変化することを見出し、これらに焦点を当て検討を行った。A20を強制発現させた細胞では、炎症性サイトカインによるNF-・Bの活性化が抑制されること、A20の発現を抑制した細胞ではアナジーが部分的に緩和されることを明らかにした。また、C/EBPファミリー、特にC/EBPβは、小胞体ストレスにより強い誘導があり、これを強制発現させた細胞では、サイトカインによるNF-κBの活性化が抑制されること、C/EBPβの発現を抑制した細胞ではアナジーが部分的に緩和されることを明らかにした。 次に、小胞体ストレスによるアナジーの惹起は他の細胞種において、具体的には糸球体上皮細胞、腎尿細管細胞、肝細胞を用い、アナジーの惹起を検討した結果、これらすべての細胞種で小胞体ストレスによりアナジーが惹起され、後続するサイトカイン刺激による応答が抑制された。 以上の結果から、糸球体細胞におけるアナジーの惹起には、小胞体ストレスによるA20、C/EBPβの誘導が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。これまで、小胞体ストレスはNF-κBの活性化に寄与するものと考えられてきたが、本研究はその逆もありうること、即ち、あらかじめ惹起された小胞体ストレスは後続の炎症性刺激によるNF-κBの活性化を顕著に抑制し炎症の沈静化に寄与する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)