2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス応答を介した炎症刺激不応性(アナジー)獲得のメカニズムの解明
Project/Area Number |
07J06469
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
早川 国宏 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炎症 / 小胞体ストレス / アナジー / NF-κB / 糸球体細胞 |
Research Abstract |
虚血性心疾患、神経変性疾患、代謝性疾患等の多彩な疾患群において、小胞体ストレスがその病因として注目されている。現在、炎症応答と小胞体ストレスの関連については明らかではないが、現在までに得ている幾つかのプレルミナリーな証拠から、小胞体ストレスがマクロファージ由来の因子によって引き起こされ、系球体細胞の炎症性刺激に対する反応を鈍化(アナジーの誘導)させている可能性がある、との仮説を立てている。そこで本研究は、マクロファージによる糸球体細胞のアナジー惹起における小胞体ストレス応答の役割を明らかにし、その詳細なメカニズムをin vitroで解明する事を第一の目的とした。 マクロファージ由来の炎症刺激が糸球体メサンギウム細胞の小胞体ストレスを惹起するかを検討した。活性酸素種により内因性の小胞体ストレスマーカー(GRP78)の発現は惹起されるものの、培養上清中に含まれる他の因子および共培養実験ではGRP78の発現は見られなかった。 小胞体ストレスの誘導により種々の炎症刺激に対するアナジーが惹起されるかを検討した。小胞体ストレスを惹起したメサンギウム細胞では炎症性サイトカイン刺激によるNF-κBの活性化が著明に抑制された。 小胞体シャペロンの過剰発現によるストレスの緩和は、炎症刺激によるアナジーの惹起を抑制するか検討するために、小胞体ストレスを緩和する小胞体シャペロン(GRP78)を過剰に発現する安定な組換え細胞を樹立し、アナジーの惹起が抑制されるかどうかを検討したが、明らかな抑制は見られなかった。 小胞体シャペロンの機能阻害によるストレスの増強により、アナジーを惹起させるか検討した。GRP78の特異的阻害剤で前処理し小胞体ストレスを惹起することにより、その後の炎症応答は顕著に抑制された。 以上の結果から、小胞体ストレス応答は糸球体細胞におけるアナジーの惹起に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。現在、この詳細な分子メカニズムを検討中である。
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Research Products
(3 results)