2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本及び台湾産チゴユリ属植物における系統分類学的研究及び推定雑種の雑種性検証
Project/Area Number |
07J06471
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斉藤 由紀子 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 広義ユリ科 / チゴユリ属 / 植物分類学 / 分子系統 / フラボノイド成分 / 染色体 |
Research Abstract |
日本と台湾にはチゴユリ属8種2変種が分布し(Kawano&Takasu,2004;Ying,2000)、東アジアにおける本属植物の種多様性の中心となっている。それゆえに現在でも属内種分類において様々な分類学的問題が蓄積している。本研究では日本と台湾および関連地域に産するチゴユリ属植物について、外部形態、染色体、「化学成分の多岐にわたる形質を比較し、系統・分類と地理的関係の考察を行うことを目的とした。平成19年度は下の研究を実施した。 1.植物採集及び現地調査:日本6箇所と台湾2箇所において自生地の環境調査と採集を行った。乾燥標本と生植物を採集し、外部形態と染色体の観察、フラボノイド成分の分析、葉緑体DNAを用いた分子系統解析に備えた。また、チゴユリ属植物の恒久的な栽培条件の確立を試みた。 2.葉の含有フラボノイド成分の分析:HPLC、マスペーパークロマトグラフィ、紫外・可視吸収スペクトル、薄層クロマトグラフィ、酸加水分解、LCMSを用いて、日本産チゴユリ、ホウチャクソウ、キバナチゴユリ、台湾産Disporum shimadai、D.kawakamii、D.nantouenseのフラボノイド成分の分離・同定を行った。いずれもアグリコンはフラボンであったが、それぞれの種において、種特異的なフラボノイド組成が認められ、識別が可能であることが明らかとなった。 3.分子系統解析:日本および台湾の種間・個体群間の系統関係を明らかにするため、上記6種の葉緑体DNAのtrnK遺伝子間領域を用いて分子系統解析を行った。その結果、まず、チゴユリが初めに分岐し、その他の5種が1つのクレードを形成した。また、台湾産3種のうち、D.nantouenseは、日本産ホウチャクソウ及びキバナチゴユリと同じクレードに含まれた。
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Research Products
(3 results)