2008 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア先史時代における生活文化論構築のための比較考古学研究序論
Project/Area Number |
07J06484
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
内田 和典 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生活文化論 / 東北アジア / 狩猟採集と農耕の相対化 / 生態史観と唯物史観 / 定量分析 / 比較考古学研究 / 先史時代 |
Research Abstract |
本研究は東北アジア地域における先史時代の生活文化構造を把握し、先史人類の生活文化史の構築を目指すものである。本研究は、従来の「狩猟採集」や「農耕」といった社会経済区分を相対化し、比較考古学研究の視点から考古資料を定量分析によって扱うことで生活文化論の構築を目指した。このような視点から今年度は以下の研究を実施した。 今年度は特に新石器時代から初期鉄器時代における日本列島および極東ロシア地域の考古学研究を中心課題とした。極東ロシアにおいては東北アジア地域の新石器文化の多様性を考える上でも重要な地域として考えられてきたが、対象となる資料自体が限定される。そのため申請者自らが良好な資料を提示するために発掘調査を企画・立案して実施した。2007年度夏期にはロシア連邦ハバロフスク国立極東博物館との共同発掘調査をバガロツコエ24遺跡とマラヤガバン遺跡において約2ヶ月間行った。また同年度の冬期には同博物館において資料整理を行うと同時に同博物館が所蔵する新石器時代前半期の資料調査を併行して行った。一連の調査結果は北方考古学者が参集する「北アジア遺跡調査研究報告」において発表を行い、意見交換を行っている。また極東ロシア地域における初期鉄器時代における集落構造を考える上で重要な墓域研究を「日本考古学協会」において発表を行い、多くの日本考古学者にその成果を提示した。また極東アジア地域の新石器時代を考えるために集落構造や遺跡間関係を把握する上で重要な居住地利用のあり方を「考古学の方法とその広がり」において考察を行った。 理論的な側面に関しては、生態史観と唯物史観の枠組みを再検討するために生態論および唯物論の集落研究における位置付けを明確にするための準備を継続して行っている。
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Research Products
(8 results)