2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管機能改善ペプチドの生理作用解明と多疾病対応型予防食品の創製
Project/Area Number |
07J06499
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
田中 充 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多疾病対応型予防食品 / 血管弛緩作用 / ペプチド / 動脈硬化 / 高血圧 |
Research Abstract |
これまで、血管弛緩作用を有するVal-Tyrを基本骨格として、50種類以上のジペプチドを合成しその弛緩作用を評価したところ、Trp-His(WH)に顕著な弛緩作用を見出し、その作用は血管平滑筋におけるL型Ca^<2+>チャンネルブロック作用によるものであることを明らかとしてきた。そこで、今年度はこれら知見をもとに、さらなる活性ペプチドの探索と構造-活性相関の解明及び、当該機能を有するペプチドのin vivoにおける生報作用(動脈硬化予防作用)の検証を行った。 1.新規血管弛緩性トリペプチドHis-Arg-Trpの発見 これまでに見出した血管弛緩ペプチドであるWHを基本構造とし、ペプチドの吸収限界鎖長であると考えられるトリペプチドまでのペプチドを合成し、その弛緩作用を評価した。その結果、N末端及びC末端におけるHisイミダゾール基及びTrpインドール基中のプロトンの存在が重要であることが示唆された。また、中間位における塩基性アミノ酸残基も活性発現に重要であることが示され、高活性ペプチドとしてHis-Arg-Trpを見いだした。 2.Apo E欠損マウス(動脈硬化モデル)を用いたWHの動脈硬化予防作用の検証 血管弛緩作用の認められたWHのApo E欠損マウス(動脈硬化モデル)に対する9週間の長期投与試験を行ったところ脂質代謝及び成長には全く影響を与えずに、動脈硬化病変形成が抑制された。このことは、血管弛緩作用を有するペプチドが高血圧のみならず、動脈硬化に対しても改善作用を有することを示唆するものである。単一の低分子ペプチドが脂質代謝とは異なる作用により動脈硬化予防作用を示すとの知見は、本研究により初めて明らかとされた知見である。
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Research Products
(5 results)