2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06506
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大串 敦 Hokkaido University, スラブ研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 半大統領制 / ソ連大統領 / ロシア大統領 / ロシア政府官僚制 / ソ連共産党 |
Research Abstract |
去年度には、ロシアにおける大統領府の発展過程を跡付けた論文を数本発表した。最初のものは、スラブ研究センター主催の国際ワークショップで報告し、改稿したものをスラブ・ユーラシア研究東アジア学会に提出した。東アジア学会では、韓国など東アジアの研究者からも好意的な評価をいただいた。その論文は、林忠行教授(スラブ研究センター)との共編論文集に収録され、同論文集にはPeter RutlandやRichard Sakwaなど著名な研究者の論文も収録される。また同論文を改稿し、他の旧ソ連諸国との比較を視野に入れた論文を日本語にて執筆した。 この研究は、ソ連大統領府の成立および崩壊過程を研究内容の一部とする本研究課題から派生した研究課題であり、最も実質的な貢献は、ソ連大統領府は、ソ連共産党中央委員会(とその官僚機構)の機能的代替物として、意図的に設計された、ということをゴルバチョフ補佐官であったゲオルギー・シャフナザロフの未公刊メモランダムなど一次資料によって証明した点にあると考えている。また、それら諸論文は、ロシアの執行機関が大統領と首相によって分掌されるいわゆる半大統領制であり、その大統領府の機能がソ連共産党中央委員会に類似し、政府官僚機構を統制していると論じた。これ自体は、オリジナルな知見ではないが、なぜ結果として類似したのかという原因を、統制される客体である政府官僚機構の特質に求めた点はある程度オリジナリティーを主張できると考えている。
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Research Products
(4 results)