2008 Fiscal Year Annual Research Report
多置換ピラン環のジアステレオ選択的構築法の開発と展開
Project/Area Number |
07J06569
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
薬師寺 文華 The University of Tokushima, 大学院・薬科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 抗菌活性 / チオマリノール / テトラヒドロピラン環 / 全合成 / ハイブリッド型天然物 / エントロピー効果 / 分子内oxy-Michael反応 / ホロチン |
Research Abstract |
チオマリノール類は、海洋性バクテリアAlteromonas rava sp.より単離・構造決定された抗菌活性天然物である。本化合物は、強力な生理活性に加え、ホロチン部と4置換テトラヒドロピラン環部よりなるハイブリッド構造を有することから、合成化学的にも創薬化学的にも大変魅力的である。申請者は、チオマリノール類に共通するコア構造単位である多置換ピラン環に着目し、柔軟性の高い新規合成法の確立を目指すとともに、全合成の完結、ならびに全合成研究を基盤とした真に有用な医薬品シーズの開発を目的として研究を展開した。 チオマリノール類の合成研究を行うにあたり鍵となる4置換テトラヒドロピラン環部は、分子内oxy-Michael反応を用いてジアステレオ選択的に構築するものとし、種々検討を行った。その結果、塩基性条件下並びに超高圧条件下において多置換テトラヒドロピラン体のジアステレオ選択的構築法を確立することができた。続いて、本構築法を用いてチオマリノール類の合成研究を行った。先に合成したテトラヒドロピラン体のエポキシド部位に対する選択的求核開裂により、4連続不斉中心を有するピラン環部を単一のジアステレオマーとして合成後、NHKカップリングを用いてC1-C4側鎖を導入した。次にJulia-Kocienskiオレフィン化反応を行うことでC1-C14セグメントを構築し、酸化反応によりカルボン酸へと導いた。最後に別途合成したホロチン部とエステル化反応を行うことでチオマリノールAの全合成を達成した。さらにチオマリノールAをオキソンを用いて酸化することにより、チオマリノールBの全合成を達成した。
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Research Products
(5 results)