2007 Fiscal Year Annual Research Report
水田土壌におけるメタン生成古細菌の生残部位と下層土中の嫌気的メタン酸化古細菌群集
Project/Area Number |
07J06611
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 健史 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水田 / メタン / メタン生成古細菌 / 嫌気的メタン酸化 / 硫酸還元菌 / 群集構造 / 共生 |
Research Abstract |
水田土壌生態系の中で、落水された酸化的な水田土壌中でのメタン生成古細菌群の生態および、湛水条件下の水田下層土で嫌気的にメタンを酸化する嫌気的メタン酸化古細菌の生態を解明し、水田土壌中でメタンの動態に関わる微生物の役割を明らかにすることを目的とした。 1.土壌微細構造中でのメタン生成古細菌の存在部位の解明:メタン生成古細菌がほとんど存在しない畑土壌を対象に、湛水と落水を繰り返す室内培養実験を行った。メタン生成古細菌の16S rDNAを対象としたDGGE解析から、培養に伴いDGGEバンド数は増加し、菌が土壌中で増殖したことが明らかとなった。落水期間に土壌団粒を異なるサイズに分画し、DGGE解析を行った結果、25〜250μmの団粒中からもバンドが観察された。また、湛水と落水の繰り返しにより画分間のDGGEバンドパターンは類似していった。水稲作を繰り返した水田土壌では、団粒サイズに関わらず均一なバンドパターンが得られた。以上の結果から、湛水により増殖したメタン生成古細菌は、落水期間中も団粒の微細構造中で生残することが推定され、湛水と落水の繰り返しにより最終的に安定した群集構造を形成するようになると考えられた。 2.水田下層土においてメタン生成および嫌気的メタン酸化に関与する古細菌群の解明:水田土壌から分離したメタン生成古細菌Methanobacterium sp.AH1株と硫酸還元菌Desulfovibrio sp.A1株を、嫌気的に共生培養し、メタンの分解が起こるかどうかを確認した。気相にメタンを封入し、酢酸ナトリウムを含む培地において嫌気的に共生培養した結果、メタンは生成されず、気相中のメタン濃度が徐々に減少していった。この結果から、従来メタンを生成すると考えられていたメタン生成古細菌が、条件によっては嫌気的にメタンを酸化する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)