2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代的アメリカ映画の視聴覚的様式分析-表象技術と文化形態に関するイメージ論的研究
Project/Area Number |
07J06636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中路 武士 The University of Tokyo, 大学院・学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 映画研究 / 批判理論 / 視聴覚 / 情報技術 / 記憶 / イメージ / メディア / アーカイヴ |
Research Abstract |
AV機器やPC機器等、視聴覚的記憶装置の購入によって、映画的イメージのアーカイヴを構築するための情報技術環境を整えた。また、映像と音響を理論的に分析するために、現代思想や現象学、視覚文化論やメディア論の研究図書を購入し、その読解を行った。こうして、情報技術を組み入れた情報学的知見と批判理論を基盤とした人文学的知見の総合を試みつつ、映画の視聴覚的様式の分析を実施し、所属研究機関の紀要論文や国際会議の口頭発表において、その研究成果の一部を公表した。映像と音響の批判的分析のためにデジタルテクノロジーを道具として用いることで、メディアによって書き換えられる知覚や記憶、意識や身体、感覚や思考の位相の変化を描出する可能性を提示することができた。ここでは、映画的イメージを運動と時間の技術的文字として捉え、その痕跡が形成する記憶の保存体系をアーカイヴとして考察した。特に、情報技術による視聴覚的イメージとアーカイヴの存在論的変容に焦点を当てることで、映画研究に新たな視点の導入を図った。また、本研究の目的と実施計画に直接的に関連する国際会議と国際シンポジウムの企画運営に携わった。これらは現代の情報化社会と視聴覚文化を理解するために、非常に有意義で重要な成果となった。さらに、表象メディアと都市文化に関する共著を出版し、映画理論や哲学の研究図書に関する書評をウェブ等に発表するとともに、映画とデジタルテクノロジーに関する講演や研究会を行った。これらの研究成果によって、映画を中心とした表象技術と文化形態の批判的な解明を目指す博士学位論文を執筆するための基盤を構築することができた。なお、研究実施計画に記載していた海外における調査研究は今後行う予定である。
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Research Products
(6 results)