2007 Fiscal Year Annual Research Report
交互累積膜法を用いた刺激応答型薬物放出システムに関する研究
Project/Area Number |
07J06647
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 裕 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 高分子薄膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は電位を印加することにより薬物モデル化合物の放出の制御が可能な電極を作製することであり、研究は(1)「電極表面に作製した交互累積膜への薬物モデル化合物の固定化」と(2)「電位を印加することによる固定化した薬物モデル化合物の放出」の2つの段階からなっている。本年度は上記(1)の達成を目標とし、(a)刺激応答型薬物放出システムに適した交互累積膜の作製条件を検討する、および(b)作製した交互累積膜への薬物モデル化合物の固定化条件を検討する計画であったが、上記(2)まで研究を進めることができた。 具体的には、薬物モデル化合物として有機色素であるメチルオレンジを用いた実験系において上記(a)および(b)について検討した後、薬物モデル化合物の吸着挙動についても調査し、その後当初の研究実施計画を前倒しして上記(2)について研究を進めた。その結果、固定化した薬物モデル化合物の放出挙動は溶液のpHとイオン強度によって顕著に異なることを見出し、電位の印加に伴う電極表面の局所的pH変化によるMOの放出制御を実現した。 今後の研究計画としては、薬物モデル化合物としてメチルオレンジ以外の化合物を用いた系の検討を予定している。上述の実験系では薬物モデル化合物の固定化方法として静電的相互作用を利用しているため、電荷の数が異なる分子を薬物モデル化合物として用いることにより放出挙動をさらに正確に制御できると考えられる。また、当初予定していた刺激応答型薬物放出システムの原理以外にも、薬物モデル化合物が交互累積膜自体の構成要素であるような異なる原理を用いた実験系も検討していく予定である。
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