2007 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いた再生医療のための三次元足場材料と培養技術の開発
Project/Area Number |
07J06652
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高本 智紹 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 幹細胞 / スキャホールド / コラーゲンスポンジ / 繊維強化 / 3次元培養 |
Research Abstract |
増殖、分化能力の高い幹細胞を用いて、欠損組織の再生誘導が試みられている。しかしながら、幹細胞の利用における問題は、細胞数の少ないことであり、細胞を効率よく増殖させるための技術、たとえば、細胞の局所環境のための3次元足場材料の研究などが必要不可欠である。これまで主に、その優れた細胞親和性からコラーゲンスポンジが利用されてきた。しかしながら、このスポンジ足場には、細胞培養中に収縮、変形してしまうという欠点があった。本研究の目的は、このコラーゲンスポンジの力学強度を高め、幹細胞の培養環境をよくすることである。そのために、スポンジ内に繊維を組み込み、力学補強することを試みた。また、この足場材料の繊維強化が骨髄間葉系幹細胞(MSC)の増殖性、骨分化度に与える影響について検討した。 PET繊維を組み込むことでコラーゲンスポンジの圧縮弾性率は有意に増大し、培養時における収縮も有意に抑制された。また、圧縮弾性率、収縮抑制率は、スポンジに組み込むPET繊維の量が多いほど、繊維径が小さいほど高まることがわかった。さらに、このPET繊維強化コラーゲンスポンジ内でMSCの培養を行い、増殖性および骨分化の程度が高まることがわかった。これは、力学補強によって、スポンジ内に細胞の増殖、分化できる空間が維持されたことが理由であると考えられる。 これらのことにより、PET繊維強化コラーゲンスポンジは、生体親和性と強い力学強度を兼ねそろえた、幹細胞の3次元培養において非常に有用な足場材料となりうることがわかった。
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