2007 Fiscal Year Annual Research Report
天然放射性核種を利用した環境変動解析と堆積年代測定:ウラン・トリウム同位体
Project/Area Number |
07J06682
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂口 綾 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員SPD
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Keywords | 湖沼堆積物 / フブスグル湖 / ウラン / トリウム / 年代測定 / 琵琶湖 / 古環境 / 天然放射性核種 |
Research Abstract |
本研究では、湖底堆積物中ウラン(U)・トリウム(Th)同位体組成変化に着目し、これら同位体の古環境復元プロキシとしての確立を目的としている。今年度はバイカルリフトゾーンに位置する淡水湖・フブスグル湖(モンゴル)の湖底堆積物HDP04(全長約80m)についてU・Th同位体(^<238>U,^<234>U,^<230>Th,^<232>Th)濃度および放射能比を測定し、気候変動にからむU(Th)の沈降・堆積挙動解明さらに湖底堆積物への^<230>Th-^<234>U-^<238>U年代測定法の適応を検討した。各深度におけるバルク試料中のU・Th同位体測定結果から、フブスグル湖底堆積物中には岩石・土壌粒子に含まれる陸源性のU・Th成分と、溶存していたUがなんらかのメカニズムにより堆積した自生性のU/そのUから成長したU・Th成分が存在することが明かになった。年代測定の際、陸源性U・Th同位体の影響を除去するために、希酸抽出による疑似3Dアイソクロン法を堆積物への適応を試みた。その結果、^<14>C年代測定では不可能である堆積深度の年代測定に成功し、MIS7(海洋酸素同位体ステージ7)までの堆積年代を詳細に決定することができた。また、フブスグル湖堆積物中の自生性U濃度変化は、一次生産物質の色素に起因するSECs量と非常によく対応することが明かになり、自生性Uはフブスグル湖において温暖寒冷を示すプロキシとなりうる可能性を見出した。さらに、MISll-13の間に劇的な環境変動に起因すると考えられる不整合面が見つかっているが(Kashiwaya, et. al.in press)、この深度では異常に濃縮されたU層が見出された。今後、陸域・湖沼系での環境変動にからむU・Th挙動について、より詳細な年代測定法適応の試みと共に検討する予定である。
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Research Products
(9 results)