2008 Fiscal Year Annual Research Report
GnRHの多様な生理作用を支える分子機構の解明-新規因子の同定と機能解析-
Project/Area Number |
07J06699
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金保 洋一郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生殖内分泌学 / 神経科学 / 発生学 / GnRH / 細胞移動 / 細胞増殖 / 低分子量Gタンパク質 |
Research Abstract |
1.発生期のGnRHニューロンに対するGnRHの自己分泌・傍分泌作用 発生期において、GnRHニューロンは脳外から脳内へと移動する。この移動の間もGnRHは分泌されているが、その生理学的な役割は不明であった。私は、平成19年度に確立した実権系を用いて、GnRHがGnRHニューロンの突起伸長と移動を促進することを示した。この成果は既に論文に投稿し、現在掲載準備中である。また、GnRHはGnRHニューロンにおけるcGnRH-I mRNAの発現をも促進することも示唆した。このように、発生期におけるGnRHの生理作用を示した報告は本研究がはじめてである。 2.GnRHによる遺伝子発現の制御とその分子機構の解明 私は、GnRHの多様な生理作用を明らかにすべく、遺伝子発現の制御に着目した。そこで、BeWo細胞(ヒト胎盤由来の細胞株)を用いてRAP-PCR法とreal time PCR法により、GnRHによって発現が抑制される遺伝子を見出した。見出された遺伝子はいずれも胎盤における作用が研究されておらず、今後の研究によりその解明が待たれるものである。また、GnRHによる遺伝子発現の抑制作用に低分子量Gタンパク質(RhoA)が関与していることを示唆する実験結果を得た。GnRHによる細胞骨格の制御に低分子量Gタンパク質(Rac1,Cdc42,RhoA)が関与していることは2006年において初めて報告されたが、他の作用に関しての報告は本研究が初めてである。 今後、GnRHにより発現が促進される遺伝子が見出され、これに関与するGタンパク質を同定することでGnRHの生理作用の多様性とその分子機構が明らかになることが期待される。本研究の成果はその第一歩と言える。
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Research Products
(5 results)