2007 Fiscal Year Annual Research Report
μ-TAS適用超小型ポンプ開発を目的とした蚊の吸血機能の解明
Project/Area Number |
07J06725
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
菊地 謙次 Toyo University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マイクロ流体 / 蚊の吸血機構 / マイクロPIV / 生体流れ |
Research Abstract |
蚊の吸血性能に関して,流体工学的アプローチにより実験的に調べてきた結果,蚊のポンプ流量は0.8ml/min,動力は1.2×10^<-7>Wであり,現存する人工のダイアフラム型ポンプや圧電素子を用いた小型ポンプの性能とパワー密度で比較すると,性能として1000倍高い値を示した.これには2つの事が考えられる.1つは蚊のポンプ性能が何らかの理由で人工ポンプより本当に性能がよいこと,2つ目は蚊のポンプにつながる吸血針の流動抵抗が予想よりはるかに小さいこと,である.本年度では,蚊の頭内部ポンプの非定常運動によって吸い上げられる流体の吸血針の先端近傍および針内部での挙動を,流体に添加したトレーサー粒子の挙動を流れ場の指標として観察し,流れの可視化から得られる蚊の吸血ポンプ活動を間接的に計測することに重点をおいて研究を遂行した.実験装置は,マイクロ領域において高空間・時間分解能を持つ,共焦点マイクロPIVシステムを用いた. 得られた結果は,(1)周期的な吸い込みと1周期中の規則的吸い込み速度変化,(2)蚊吸血針内における速度分布,である.結果(1)より,蚊のポンプ運動による非定常吸い込みの詳細を明らかにし,間接的観察により2連直列である吸血ポンプの周期的運動,両ポンプの位相を推察し,ポンプ運動ダイナミクスを流体挙動より予想し,ポンプ出力算出時の非定常項の導入に展開した.さらに,結果(2)より吸血針内流れと円管内の代表的な流れであるHagen-Poiseuille流れと良好な一致を示すことを明らかにし,針内壁面にかかる摩擦抵抗の算出方法の妥当性を示した. 本年度における研究において,マイクロ領域におけるPIV計測では,粒子選定における基礎的な実験手法を構築することに成功し,今後学術論文としてまとめていく予定である.
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Research Products
(3 results)