2007 Fiscal Year Annual Research Report
アカイメネス朝ペルシア帝国支配下の小アジアにおける表象・社会・文化
Project/Area Number |
07J06749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 拓児 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クテシアス / ペルシア史 / インド誌 / フォティオス / 小アジア / ギリシア語史家 |
Research Abstract |
1、『ペルシア史』の訳注。研究者(阿部)は、小アジア出身のギリシア語史家クテシアスの研究をおこなった。クテシアスの主著は『ペルシア史』と『インド誌』である。クテシアスの著作は多くの断片的言及のかたちで現在にまで伝わっているが、これまで日本においては専門的な訳注が存在しなかった。クテシアス断片史料集の核をなすのは、クテシアスよりはるか後の人、ビザンツ時代の学者フォティオスの手による摘要であるが、研究者は『ペルシア史』にかかわる摘要の前半部を訳出し、注釈を付した。 2、クテシアスの経歴にかんする研究。クテシアスの経歴にかんしては曖昧な点も多く、特に彼の作家としての本質にかかわる体験、すなわちペルシア宮廷滞在については疑問点が多い。そこで研究者は、彼の経歴にかんする断片史料を洗いなおすことによって、もっとも妥当だと考えられるクテシアスの経歴を再構築し、これを研究論文として発表した。 3、『インド誌』にかんする研究。遠い異国について伝える多くの記述がそうであるように、クテシアスの『インド誌』も、現代のわれわれが到底信用できないような情報を多く含む。しかし、一見すると摩訶不思議な記述の中から、クテシアスなりの世界にたいするイメージを読み取ることも不可能ではなかろう。このような視点に立ち、研究者はギリシア語作家たちの世界観や歴史認識について考察した。
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Research Products
(5 results)