2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子集合体の形態形成とダイナミクスについてのメゾスコピック理論の構築
Project/Area Number |
07J06818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田切 健太 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パターン形成 / セルオートマトン / 反応拡散系 / 自己触媒反応 / 表面化学反応 / 非線形ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究では原子・分子レベルでの自己組織化の制御を主眼において、分子集合体の形態形成とダイナミクスについてメゾスコピックなレベルでの理論構築を目的としている。その為の具体的な課題として、表面化学反応系と自己増殖反応系における形態形成とダイナミクスを採り上げ、これらをモデル化した数値実験を通して、理論の構築を進めている。 表面化学反応系の課題では、時空間熱ゆらぎが存在する基板表面吸着粒子のモデルの拡張を行った。具体的には、吸着粒子がステップの縁を拡散する際の配位数により活性障壁が変化する効果と基板への吸着エネルギーを顕わに考慮する事で、気相からの粒子の吸着過程も表現できる、より現実的なモデルへと拡張した。この拡張モデルを用いた数値実験により、基板表面上の吸着原子が自発的に樹状構造を形成する実験を再現する結果が得られた。 自己増殖反応系の課題では、新たな役割を持つ因子を追加する事で構成的に構築した3つの自己増殖反応系モデルについて、反応拡散方程式(RD)とセルオートマトン法(CA)による結果の比較を行った。これら2つの手法の主な違いとして、構成要素の濃度が連続的(実数)または離散的(整数)である事、及び反応・拡散のダイナミクスが決定論的または確率的である事、の2点が挙げられる。増殖と死滅だけを考えた最も簡単なモデルでは、CAで現れるバクテリアのコロニー形成に似た多様なパターンの発生において、離散的・確率的なダイナミクスが本質的な役割を果たす事を、離散的・確率的ダイナミクスを擬似的に組み込んだRDによる結果との比較を通して、明らかにした。抑制因子を追加したモデルでは、CAとRDによる反応ダイナミクスが本質的に異なる事を数学的に表し、その結果としてCAでのみチューリングパターン等の多様なパターンが生じる事を明らかにした。
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Research Products
(9 results)