2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネ亜種間交雑における生殖的隔離因子の単離および機能解析
Project/Area Number |
07J06821
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
水多 陽子 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 生殖的隔離 / 雑種 / 花粉 / 分離歪み / ゲノム障壁 |
Research Abstract |
【マッピング】第1染色体の候補遺伝子は日本晴では59kb以内の九個に、第6染色体上の候補遺伝子は11kb内の二個に絞り込むことが出来た。DNA配列比較の結果から、この第6染色体候補遺伝子二個のうちの一つは第1染色体候補遺伝子九個のうち一つと高い相同性を持つことが分かり、同祖遺伝子であることが示唆された。また、この候補遺伝子N1(日本晴第1染色体遺伝子)とN6(日本晴第6染色体遺伝子)はカサラスゲノム内にも相同遺伝子として存在することが分かった(K1:カサラス第1染色体遺伝子、K6:カサラス台染色体遺伝子)。 【候補遺伝子の発現解析】RT-PCR解析を行った結果、N1,N6,K6は様々な組織で発現しており、花粉を含む穂・葯では他の組織よりも高い発現が見られた。K1はどの組織でも発現が見られなかった。マイクロアレイ解析の結果からはN1,N6は花粉成熟中期により強く発現することが示唆された。 【cDNA配列の決定】3',5'RACE法により全長cDNA配列の決定を行った結果、N1,K6は3つのエキソンからなり、アミノ酸配列は高い相同性を持つことが分かった。一方、K1はORFの途中に挿入配列が存在するために機能欠損型、またはN1,K6とは異なる機能を持つ遺伝子になっていると考えられた。また、N6はORFの途中にストップコドンが出現し、第3エキソンが存在しないことから、こちらも機能欠損型、またはNl,K6とは異なる機能を持つ遺伝子になっていると考えられた。 K1とN6が機能欠損型、または有害な機能獲得型であるという今年度の結果は、申請書3ページの【これまでの研究経過及び結果】に記載したK1とN6を併せ持つ花粉が後代に伝わらない現象を説明することが出来る。生殖的隔離障壁の相互作用因子を一挙に解析した例はまれであるため、今後遺伝子が単離出来れば大きな成果となると期待できる。
|