2009 Fiscal Year Annual Research Report
多角的アプローチによる運動処置を無条件刺激とした味覚嫌悪学習の形成要因の解明
Project/Area Number |
07J06826
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柾木 隆寿 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 古典的条件づけ / 味覚嫌悪学習 / 回転カゴ走行 / 強制遊泳 / ラット |
Research Abstract |
ラットに味覚溶液を摂取させた後、回転カゴで自発的に走らせる、あるいは、水の入ったプールの中で泳がせるといった運動処置を行わせると、ラットはその味覚溶液を忌避するようになる。これらの現象は味覚溶液を条件刺激、運動処置を無条件刺激とした味覚嫌悪条件づけの一形態であると考えられている。本年度の研究では、これらの現象の形成メカニズムについてさらなる検討を加え、仮説的な理論を組み立てることを目標とした。 まず、回転カゴ走行による味覚嫌悪条件づけの形成において、気分不快感が機能しているか否かを検証するために、気分不快感の緩和作用を持つ抗催吐剤を用いた実験を行った。抗催吐剤オンダンセトロンの投与量を操作した2つの実験を行ったが、いずれの実験でもオンダンセトロンを投与したラットと、投与しなかったラットの味覚溶液摂取量の間に、統計的に有意な差は認められなかった。すなわち、回転カゴ走行による味覚嫌悪条件づけの形成には、気分不快感は関与していないことが示唆された。今後、オンダンセトロンとは異なった作用機序を持つ抗催吐剤を使用するなどして、この問題をさらに検討する必要がある。 また、回転カゴ走行による味覚嫌悪条件づけに関しては、回転カゴ走行量と形成される味覚嫌悪の強度との関係性についても検討を加えた。その結果、両者の間に中程度の有意な正の相関が認められた。さらに、回転カゴでの走行スピード、走行パタンに着目し、これらと形成される味覚嫌悪の強度との関係性についても検討したが、現時点で明確な結論は得られていない。今後、回転カゴ走行量と形成される味覚嫌悪の強度との因果関係を検証していくことにより、この学習のメカニズムに関する知見をさらに増やすことができるであろう。
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Research Products
(3 results)