2007 Fiscal Year Annual Research Report
微分同相群の群論的性質及び力学系的性質についての研究
Project/Area Number |
07J06854
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 能文 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 微分同相群 / 円周 / 回転数 / 大域的固定点 / 双曲群 |
Research Abstract |
今年度は、円周の向きを保つ微分同相群の部分群について研究した. 円周の向きを保つ微分同相に対して、各点の移動距離を平均することにより、回転数が定義される。回転数は微分同相の力学系的な情報を多く含んでいて、特に、有限軌道の存在と回転数の有理性が同値である。円周の向きを保つ微分同相群の上に、各々の微分同相の回転数を対応させることにより、回転数関数が定義される。円周の向きを保つ微分同相群の部分群が有限軌道を持つならば、回転数関数による像が有限であるが、その逆は成り立たない。つまり、 (1)回転数関数による像が有限であり、 (2)有限軌道を持たない 部分群が存在する。例えば、各元は固定点を持つが大域的固定点を持たない部分群は、これらの条件を満たしている。条件(1)、(2)を満たす部分群の例としては、非初等的な有限生成フックス群が挙けられるが、それ以外の例はほとんど知られていない。 そこで、上記の条件(1)、(2)が成り立つための必要条件を調べ、以下のような結果を得た:Gを円周の向きを保つ実解析的微分同相群の部分群とする。Gが上記の条件(1)、(2)を満たすものとすると、以下の性質を持つ。 (a)GはC^1位相に関して離散的である。 (b)Gの任意の部分群は、非可換自由部分群かあるいは有限指数の巡回部分群のいずれかを持つ。(特に、Gは階数2の可換自由部分群を持たない。) また、実解析性の仮定を落とすとこのような結果が成り立たないことも確かめた。 性質(b)は双曲群に対して成り立つことが知られており、上記の結果は円周の向きを保っ実解析的微分同相群の部分群であって上記の条件(1)、(2)を満たすものがある種の双曲性を持つことを意味していると解釈できる。
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Research Products
(5 results)