2007 Fiscal Year Annual Research Report
二〇世紀思想史と革命的マルクス主義の形成および展開
Project/Area Number |
07J06878
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
白井 聡 Waseda University, 政治経済学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | レーニン / ボルシェヴィズム / ロシア革命 / マルクス主義 / 精神分析 / 国家論 / ナショナリズム / 民主主義 |
Research Abstract |
平成19年度の最も大きな成果は、これまでのレーニン研究の成果をまとめた単著を『未完のレーニン--<力>の思想を読む』として刊行したことである。同書は講談社から選書メチエシリーズの一冊として刊行されたが、幸いなことに一定の注目を集め、朝日新聞、日本経済新聞、東京新聞等の各紙、およびいくつかの雑誌において書評記事が書かれることにもなった。新しい形でのレーニンの読み直し、マルクス主義思想の解釈の成果であるという評価を、各界識者はら得たと言える。本書の主な内容は、レーニンの『国家と革命』およびう二つのテクストを内在的に読解することによって、彼の革命論の骨格を抽出し、再構成したものであり、従来なされてこなかったレーニンを政治思想史において位置づけるという課題を果たしたものである。 新しい研究の展開を示す業績として挙げることができるのは、『RATIO』誌に掲載された「民主主義は不可能か-シュミット・フロイト、ラディカル・デモクラシー」と題する論文、および『神奈川大学評論』誌に掲載された「ナショナリズムの過去・現在・未来」と題する論文である。前者は、カール・シュミットやフロイト、レーニンについて論じたものであり、20世紀思想の比較研究の一環の成果であるが、それと同時に現代のラディカル・デモクラシーの思想にも言及することによって、本研究課題のひとつである時代間の思想の対話という目標を達成することを目指している。後者は、アーネスト・ゲルナーやロバート・B・ライシュといった理論家のナショナリズム論について検討したうえで、ナショナリズムの歴史的来歴とその未来について20世紀という文脈から考察したものである。本論文もまた、思想史と現代政治イデオロギー分析という二つの領域にまたがる研究成果であると言える。
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Research Products
(3 results)