Research Abstract |
研究課題である脱塩基部位における核酸塩基認識機構に重点を置き,鋭意研究を遂行した。具体的には,紫外可視吸取光度法,蛍光分光法,等温滴定熱量測定法(ITC, Isothermal titration calorimetry)を用いて,脱塩基部位における水素結合性リガンドと核酸塩基との相互作用を評価し,熱力学的に解析することに成功した。脱塩基部位における核酸塩基認識との相互作用の熱力学的プロフィールを,Hoechst 33258などDNAの副溝に結合するグルーブバインダー,ならびにエチジウムブロマイドなどDNAの塩基間に結合するインターカレーターのDNAとの相互作用の熱力学的プロフィールと比較することで,本系における熱力学的に特徴つけることができた。現在,これらの研究成果を取りまとめており,論文投稿する予定である。一方で,もう一つの研究課題であるアフィニティーラベル化法の開発を進めた。アフィニティーラベル化法のモデル系として,モレキュラービーコン法を用いて,基礎検討を行った。標的としては,一塩基多型(SNPs, Single nucleotide polymorphisms)検出を目指した。具体的には,モレキュラービーコンとして用いるDNA塩基配列,DNAの長さ,ならびに標的DNA塩基配列,DNAの長さの影響を検討した。これまでに,合成オリゴヌクレオチドを用いたモデル実験において発蛍光応答を観測することができ,モレキュラービーコンとしての機能を確認することができた。今後,長鎖標的DNA,次にPCR(Polymerase chain reaction)反応により増幅されたサンプルへの適用を目指す。また,RNAなど標的対象を広げ,アフィニティラベル化法としての応用例を広げていく予定である。
|