2007 Fiscal Year Annual Research Report
Pincer型カルベンをリガンドとする新規ニッケル触媒反応の開発
Project/Area Number |
07J06880
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 潤一 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | N-heterocyclic carbene / pincer型リガンド / ニッケル触媒 / Heck反応 / 鈴木-宮浦カップリング反応 / 熊田-玉尾-Corriuカップリング反応 / イミダゾール |
Research Abstract |
これまでの検討により,N-heterocyclic carbene (NHC)由来pincer型新規ニッケル錯体を合成し,Heck反応,鈴木-宮浦カップリング反応,および熊田-玉尾-Corriuカップリング反応において,本錯体が高い触媒活性を有することを見出している.本研究では,pincer型ニッケル錯体の構造の違いが反応性に及ぼす影響についてのさらなる調査を目的として,立体的・静電的に幅広い性質を持つニッケル錯体群の合成とその触媒反応への応用について検討を行った. はじめに,メタラサイクルの環の大きさおよびイミダゾール環上の置換基を変化させた4種の新規ニッケル錯体を調製し,それらを触媒として用いて,鈴木-宮浦カップリング反応を行った.詳細な検討の結果,"K_3PO_4存在下,sBuOH中,100℃"という条件を用いることで,幅広い置換基を有する芳香族ブロミドおよびクロリドのアリールボロン酸あるいはビニルボロン酸との反応が円滑に進行し,高収率で目的とするカップリング成績体を得ることができた.またこのとき,メタラサイクルの環の大きさが反応速度に影響を及ぼすことも明らかとなった. 加えて,幅広い置換様式を持つpincer型ニッケル錯体群の合成についても現在検討中である.さらには,それらを種々のクロスカップリング反応に適用することで,合成した錯体の反応性や安定性といった性質を明らかにすると同時に,錯体構造と触媒活性の相関を詳細に調べ,その結果を精密触媒設計を実践するための材料として活用していきたいと考えている.
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Research Products
(3 results)