2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06907
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 尊司 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 色彩調和 / 機能的磁気共鳴画像法 / ワーキングメモリ / 実験心理学 |
Research Abstract |
平成19年度は評定課題による行動実験と脳機能イメージング研究を行った。研究の中心テーマは色と感情の関わりである。具体的には色を組み合わせることによって喚起される「視覚的な美」にはどういった特徴があるのか、そしてこれを体験するためには脳のどの部位が重要であるのかを探ることである。そして、内的な感情に対して注意を向けるというプロセスは現在のわたしたちの意識内容を一時的に保持するワーキングメモリとの関わりから論じていくことが可能になると思われる。まずは研究課題に先行する実験として、日本画を見ているときの脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて計測した。その結果、美しさを感じているときには前頭前野の内側面、特に眼窩前頭皮質が強い活動を示すことが明らかになった。また、色を組み合わせることによって生じる美しさを「調和」と呼ぶが、明るさや鮮やかさ、色相といった物理的に記述可能な変数を操作することで調和という感情価がどのように変化するのかを実験した。その結果、調和する組み合わせとニュートラルな組み合わせには明確な差はなく、不調和な組み合わせにのみ一定の傾向があることが示された。ここから、調和と不調和を判定するときに使われている情報には違いがあり、脳内の表現形式にも差がある可能性が示唆された。そして現在は京都大学高次脳機能総合研究センター所蔵のMRIスキャナを用いて調和・ニュートラル・不調和配色を見せたときの脳活動を計測しており、研究を継続中である。
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Research Products
(2 results)