2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体アンチドット系におけるアハラノフ・ボーム型振動
Project/Area Number |
07J06909
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅紀 The University of Tokyo, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 量子ホール効果 / アンチドット / Aharonov-Bohm振動 / 電子相関 |
Research Abstract |
半導体であるGaAs/AlGaAs界面に形成される二次元電子系を用いて、その基板表面に電子線描画とエッチングを用いてサブミクロンスケールの穴を空けることで、アンチドットと呼ばれるポテンシャル変調のかかった系を作製し、その輸送現象について低温・磁場中での実験を行った。特に量子ホール状態において観測されるAharonov-Bohm(AB)型振動と呼ばれる磁気抵抗振動から、アンチドット周りの局在状態の情報を取り出す事を念頭に、2つのテーマについて実験を行い、それぞれについて学会発表及び論文掲載を行った。 まず、我々はアンチドットを一つ含んだ系において、アンチドットの周りにスピン分離したエッジ状態が一本ずつ作られるν=2量子ホール状態に、周期がh/2eで現される磁気抵抗振動を観測した。さらに、磁場中において試料を傾けながら測定を行いゼーマンエネルギーだけを大きく変化させることで、h/2e振動の形状が周期的に変化することを初めて見出した。また、試料に直流バイアスをかけた実験から、この振動構造の変化が異なるスピンが作る1電子状態間の相対的なエネルギー間隔の変化によるものであることを確かめた。 次に、アンチドット格子に観測されるAB型振動について、各磁場位置で見られる振る舞いを詳細に調べた。また、量子ホール領域での抵抗揺らぎも併せて観測し、これとアンチドット格子に特有なAB型振動との違いを調べた。試料にとりつけたフロントゲートによって電子濃度を変化させた時の振動変化の違いから両振動の起源が異なることを示し、特にAB型振動がアンチドット周りに形成される局在状態(一電子状態)を反映し、AB型振動のゲート依存性からアンチドットのポテンシャル勾配を調べることができることを明らかにした。 どちらも高磁場領域における電子状態について新しい知見を得ることができ、意義があると思われる
|
Research Products
(4 results)