2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島における先史人類の定住化をめぐる動態的研究
Project/Area Number |
07J06930
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤山 龍造 Meiji University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 縄文時代 / 定住化 / 資源開発 / 狩猟採集民 / 考古学 |
Research Abstract |
本研究が最終的な目標とするのは,(1)縄文時代初頭の居住形態に注目しながら,(2)先史人類が獲得経済下で定着的な生活を営み始める過程を明らかにすることである。 こうした目標のもとに,本年度は引き続き(a)居住形態の研究,(b)資源開発の研究を基軸としながら,前年度の研究成果を発展的に展開することを目指した。 このうち(a)居住形態の研究では,これまでと同様に複数の遺跡にわたる移動行動に着目しながら,従前の"定住化"論を問い直すことに努めた。その結果,先行研究の想定と反して,先史人類は居住地の定着性を強めながらも,ときに広域に及ぶ"渡り"を展開し始めることが明らかになってきた。また,こうした移動形態の展開と連動しながら,人類は山間部の洞穴を生活のなかに取り込み始める過程を明らかにすることができた。 また,(b)資源開発の研究では,主に石器資料の緻密な解析を行うことによって,その地域的な展開を描き出すことに努めた。とくに,その機能,技術,組成といった側面から地域間の対比を多角的に進めたところ,上述した居住形態の展開とあわせるように,資源開発が地域ごとに特殊化してゆくことを明らかにできた。 以上のように,(a)居住形態の転換と(b)資源開発の転換は密接に関連している可能性が高く,次年度はそれらを関連づけながら,世界的に見ても稀な定着的な狩猟採集民の成立過程を捉え直す予定である。
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Research Products
(5 results)