2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体信号のカオス解析によるヒューマンエラー発生の予測と制御
Project/Area Number |
07J06944
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
今西 明 Kwansei Gakuin University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒューマンエラー / カオス解析 / リアプノフ指数 / 容積脈波 / ドライバー / パラメータ |
Research Abstract |
カオス解析は解析手法そのものが確立されていないことから,先行研究において使用されている解析パラメータは研究によって異なり,統一的な見解を導き出すことができなかった。そこで,昨年に引き続き,解析パラメータが容積脈波のリアプノフ指数(信号に含まれるカオス性の強度を示す)に与える影響について検討した。その結果,解析パラメータがリアプノフ指数に与える影響が明らかにされ,カオス解析を用いる上での指針を得た。 それらの一連の研究で得られた結果を元に,これまでに得られていた実験結果を再分析し,さらに作業者の心身状態の推定を試みる実験を複数行った。特に,実車を用いて長時間(9時間)にわたる夜間トラック運転時におけるドライバーの心身状態を推定したフィールド実験では,9時間を完走できたドライバーと途中棄権したドライバーとの間で容積脈波のリアプノフ指数の変化傾向が異なり,この指標がドライバーの心身状態の推定に用いられる可能性があることが示唆された。他にも,上記のような応用研究と同時に基礎的知見を得るため,実験室実験も行った。心理学的研究領域において用いられる暗算課題や鏡映描写課題,ヴィジランス課題など,比較的単純な心的負荷課題を用いて,容積脈波のリアプノフ指数に関する基礎的知見を得た。 解析パラメータを決定する基礎研究,実験室実験による基礎的知見の獲得,そしてフィールド研究による実用可能性の検討を行った結果を通して,容積脈波のカオス解析から得られるリアプノフ指数は作業者(ドライバー)の心身状態を簡便に測定できる可能性があること,そして,ヒューマンエラーを原因とする事故(交通事故など)を予防できる手段として容積脈波のリアプノフ指数が有益であることが示された。
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Research Products
(7 results)