2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06993
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹中 悟人 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | フランス法 / 契約 |
Research Abstract |
今年度はフランス契約法を対象として「契約の解釈」論を支える幾つかの思考枠組みについての基礎的検討を行った。中心的な検討対象は、20世紀前半〜後半のフランス法律行為論に該当する議論(特に契約の成立に関するフランスの学説における議論)である。この検討からは、契約の規範的コントロールに関するフランス法独自の判断構造が明らかとなり、幾つかの関連諸概念との関係における各種概念の理論的位置づけが明確化された。また同時に、フランス契約法におけるメタ概念による規範的コントロールの構造と特殊性も明らかとなった。特に、契約の成立に関する幾つかの規範的要件が、各種のメタ概念を媒介として多層的な形で契約コントロールを試みているという理論状況が、部分的に解明された。 上記のような検討からは、当該フランス法の議論が、日本法における法律行為論・錯誤論、ならびに法解釈構造論に対し、一定の示唆を与えうる可能性も確認されるに至った。特に、契約の成立を規律する幾つかの局面において、フランス法由来の判断構造が一定の範囲において有用性を持ちうる可能性が明確化された。これは、概念論史的な論拠に由来するものであると同時に、一定の規範的判断を行う際にフランス契約法が用いている特殊な判断構造そのものにも由来するものである。 今後はこれらの検討結果を踏まえた上で、より具体的な形で、幾つかの側面から日本法における契約解釈構造論を明らかにすることが課題となる。
|