2008 Fiscal Year Annual Research Report
S. griseusにおける二次代謝、形態分化制御蛋白質のプロテオーム解析
Project/Area Number |
07J07090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤沼 元気 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Streptomyces / A-factor / AdpA / proteome |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces griseusは、自身が生産する低分子調節物質A-ファクターにより、グローバルな転写活性因子であるAdpAの発現を活性化し、形態分化・二次代謝を誘導する。受入研究室ではこれまで、複数の分泌プロテアーゼやプロテアーゼ阻害タンパク質の生産がA-ファクターによって誘導されることを示し、形態分化に分泌プロテアーゼが重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。今年度は、昨年度に引き続きA-ファクターに応答して生産される新たな分泌プロテアーゼやその他の分泌タンパク質についての知見を得るため、菌体外タンパク質を対象としたプロテオーム解析を行った。 adpAの遺伝子破壊株および野生株の菌体外タンパク質を調製、二次元電気泳動法を用いて分離、同定した。野生株とadpA破壊株の同定結果を比較することで、野生株の培養上清に特異的に含まれるタンパク質を32種,adpA破壊株より2倍以上の存在量を示したタンパク質を6種見出し、多くの分泌タンパク質がA-ファクターによって発現誘導されていることを示した。これら38種のタンパク質が転写レベルでもA-ファクターに応答していることをDNAマイクロアレイ解析ならびに定量PCR解析によって確認した。さらに、この38種の遺伝子について精製AdpAを用いたゲルシフトアッセイを行い、AdpAによって直接的な発現制御をうける遺伝子を新たに11種見出した。これら11種の遺伝子については転写開始点、ならびにAdpA結合部位も同定した。 一方、S.griseusの培養上清中には解糖系やクエン酸回路に属する酵素など、細胞質に局在すると考えられるタンパク質もいくつか見出されたことから、S.griseusは液体培養中に一部溶菌していることが考えられた。そこで、二色の蛍光試薬を用い、蛍光顕微鏡で観察、野生株の菌糸塊の中心から溶菌が起きていることを確認した。その一方で,adpA破壊株では菌糸塊の数が少なく、遊離している菌糸の溶菌が観察された。
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Research Products
(2 results)