2007 Fiscal Year Annual Research Report
炭素親和性酸触媒を用いた機能性分子の新規合成法の開発
Project/Area Number |
07J07133
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相川 春夫 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭素親和性ルイス酸触媒 / 金触媒 / 求核置換反応 / ピリリウム中間体 / ベンジル保護 |
Research Abstract |
炭素親和性ルイス酸触媒として金触媒を用いた新規求核置換反応の開発に成功した。 具体的には、オルト位にアルキニル基を有する安息香酸エステルを基質とし、カチオン性の金触媒存在下求核剤としてアルコールを作用させることで求核置換反応が進行し、エーテル化合物が得られた。本反応では、これまで当研究室で研究してきたベンゾピリリウムカチオン中間体を脱離基として利用するような基質設計をしている。 まず、ベンジルエステルを基質に、フェネチルアルコールを求核剤に用いて触媒の検討を行った。種々の炭素親和性ルイス酸触媒を検討した結果、カチオン性金触媒が最も良い結果を与えることが分かった。さらにカウンターアニオンの検討も行い、最も良い触媒はAuOTf (PPh_3)であることが分かった。次に溶媒、温度等の検討を行ったところ、クロロベンゼン中、室温で行ったときに最も良い結果が得られた。 続いて求核剤の検討を行った。基質のエステル部位にはベンジルの他に2級のアルキル基も用いることができる。求核剤はアルコールの他に、電子豊富芳香族化合物も用いることができ、これによりFriedel-Crafts型のアルキル化に成功した。 本反応の特徴としてその非常に温和な反応条件が挙げられる。すなわち本反応では強酸も塩基も使っておらず、用いているルイス酸も炭素親和性ルイス酸触媒であるためヘテロ元素の活性化をせず複雑な基質でも副反応が少なくなると考えられる。具体的に本反応は、酸・塩基に不安定な官能基を有する天然物合成中間体の中性条件下アルコールのベンジル保護に有用であると考えられる。さらに本反応は、反応系内で脱離基を形成し求核置換反応を行うという全く新しいコンセプトである。
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Research Products
(5 results)