2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 哲之 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 比較認知科学 / 錯視 / 同化 / 対比 / 哺乳類 / 鳥類 |
Research Abstract |
当該種の知覚特性を明瞭に示す現象である幾何学的錯視をヒト・ハト・ニワトリ間で比較し、(1)当該種の視知覚に対する系統発生的制約と生活史的制約の影響を分析し、視知覚システムの進化を明らかにすること、(2)錯視知覚に影響する諸変数のうち、ヒトの錯視研究からだけでは解明できない部分を検討することが研究目的である。 本年度の研究成果は以下の通り。(1)同じ鳥類だが、ハトとは大幅に異なる生活様式を持つニワトリのエビングハウス錯視(大きさの対比)と同心円錯視(大きさの同化と対比)知覚を調べた。ニワトリはハトと同じ傾向を示した。(2)ハトにおけるツェルナー錯視(局所的鋭角過大視)知覚を調べた。ハトはヒトと同じ錯視知覚を示した。(3)ニワトリにおける視覚探索課題を用いたアモーダル補間知覚を調べた。ニワトリは、ハトと類似した傾向、つまりヒトとは違い、アモーダル補間しないことが示唆された。 先行研究から、ヒトにおける同化錯視図形ではハトでも同化が生じるが、対比錯視図形にはハトでは錯視が生じないか逆に同化が生じることが示されていたが、(1)(3)の結果から、鳥類と哺乳類で同化・対比錯視知覚の違いがある可能性が高まった。また(2)から、大きさ錯視だけでなく、角度錯視においてもヒトで局所的な要因で生じる錯視では、ハトも同様の錯視知覚をすることが分かった。これらの知見は、哺乳類と鳥類の知覚研究全般、そしてこれまでのヒトの錯視理論にも多大な影響をもたらすと考えられる。
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Research Products
(10 results)